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ゴニン デ イッシュ





        互いの読みを持ち寄ることで、
        歌の味わいが変わっていく(かも)。
        毎月ある短歌1首について5人が鑑賞文を書く、
        「山羊の木」の期間限定企画です。
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【第2回(卵)】奥村晃作
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    gonin2honda


    三句に挿入された「昼深し」が状況設定の役割を果たしている。昼が深い、昼が闌けている、と言うことで、暑い春の日か、夏の日の昼下がりの時間帯に作者はいつものように庭に降り、庭の一隅に設置してある鶏小屋に行き、小屋の巣の中に手を差し入れて、あるいは生みたてでまだ温みのある卵を、手に掴み、握り、持ち去ろうとした、その時に湧き起こった思いを述べた歌であろう。

    高瀬一誌なら、三句は不要とし、取り外したであろう。つまり、次のような形としたであろう。

    大きなる手があらはれて上から卵をつかみけるかも


    肝心な点、核心はこの形で十二分に表現されている。
    表現欲求は手と卵の関わり合いの一点にある。

    人間の大きな手が、上から、有無を言わせず、小さな卵を掴み取り、奪い取る。
    鶏の立場に立てばじつに悲惨な光景である。卵はその瞬間に未来を封殺されたのである。

    食とは、他の生命を頂くことであり、それによって自らの生命を養い、生き延びる。

    生まれて来たものは生き抜く権利がある。正当な権利の行使が、他者の正当な権利を奪い取り、蹂躙する。この矛盾に心痛めた作者がその思いを表出した歌であろう。

    生まれて生きる、根源の矛盾、食のテーマに真っ向から挑戦した作であるだろう。



    奥村晃作(おくむら・こうさく)
    長野県飯田市生まれ。73歳。「コスモス」の選者および編集委員。「棧橋」発行人。
    趣味は囲碁とクラシックギター。
    ホームページは閉鎖し、勧められてミクシィに加入(おくさん)。



    【第2回】他の4人を読む
    生沼義朗――禍々しいまでに暗い予兆
    田中槐――神によってひとつの卵が選ばれた瞬間
    辻井竜一――いくつかのシチュエーションにおいてこの歌を読むと
    本田瑞穂――「昼深し」が現実的な手触りを加える

    「ゴニン デ イッシュ」とは
    | 第2回(卵) | 21:44 | - | - | - | - |